中小製造業の生き残り戦略【その1 現状把握】
こんにちは、技術士(経営工学)のカスヤです。
さて、3回目の緊急事態宣言ですね。
昨年の1回目の緊急事態宣言から、大きく経済や生活が変化しました。
そこで、昨年からの変化を以下にまとめてみました。
コロナショック・サバイバル(コロナ後の経済)
今あなたが最も関心があることは、
コロナ後の経済ですよね。
そこで僕が以下4つの観点からまとめました。
1.危機の把握
2.生き残るための心得
3.働き方の改善
4.コロナ後に勝つためには
それでは解説します。
1.危機の把握
これからどうなるかのビジョンのために、
まずは危機を把握する必要があります。
それは医学的な危機ではなくて
「経済的な危機」です。
経済的な危機は3段階でやってきます。
①ローカル
飲食業、宿泊業、観光業、小売業、エンタメ、
…などですね。
これは一番分かりやすいのではないでしょうか。
自粛に伴い、外食を控えて多く飲食店が
閉店に追い込まれました。
また宿泊、ステイホームと言われて、
皆どこに行けない・行かない、
宿泊なんてできません。
観光は海外はもちろん国内すらいけません。
お店にも行けないので小売りもだめ、
エンタメはライブが中止、演劇・お笑いも同じ、
さらに住宅を買おうという方も激減しました。
残念ながら、”ここで終わり”、じゃありません。
自粛が開けたら何とかなる、
という分けではありません。
②グローバル
経済的な危機の第2波は、グローバルです。
グローバル展開をしている大企業が主です。
そんな中、
既に大打撃をくらっている企業があります。
そう、ANAなんです。
航空会社はもうまさに大打撃を受けている。
ものすごく固定費や基本的な費用がかかります。
続いて自動車関連、そうですよね、
輸出輸入、対米、対中で商売してる大企業は、
グローバルに行ってるがゆえに
大きな危機に瀕してる。
しかし、これは危機の序章に過ぎません。
本当に怖いのは、
これからやってくる、
急激な消費停滞による需要消滅、
売上消滅のショックでしょう。
そして売上消滅は
キャッシュ流入の消滅になります。
とにかく、
企業の規模を問わず一番困るのは
現金、キャッシュです!
中小企業は言うに及ばず、
トヨタのような超優良企業でさえも、
手元預金はせいぜい売上の
2か月分くらいといわれています。
売上が大幅に落ち込むと、
どんな大企業であっても
本当にあっという間に手元資金は
枯渇してしまいます。
つまり、
①ローカルから、②グローバルに
危機はやってくる!ということなんです。
例えば、私たち日本の地域経済には、
まだこうしたグローバル大企業の
すそ野にものづくり産業がのこっています。
このショックは、
それを担っている地域の中堅、中小製造業にも
大きな打撃を与えますよね。
厄介なのは、この第二波は、
日本自身が国内の爆発的感染を
上手く抑え込めたとしても、
主要市場である欧米で現在のような状況が続き、
中国が爆発的な大量消費モードに戻らなければ、
日本のグローバル大企業や関連する地域の
中堅・中小企業にまた危機は押し寄せるんです。
この時に立て直せないと、
日本経済は大変なことになる、
もしグローバルな大企業が倒産したら、
その後には国際的な金融危機がやってきます。
第3波は、ファイナンスです。
③ファイナンス
そうなんです。金融危機です。
グローバルな国を代表する
大手企業が倒産することで、
連鎖的に関連企業が倒産する。
リーマンショックと同じように
(2008年にリーマンブラザーズが経営破綻し)
連鎖的に世界規模の金融危機が発生する。
グローバル危機の波に(衝撃に)
耐えられないことによって、
もう一つの大きな衝撃がくる。
「逆オイルショック」
ちなみに、オイルショックは
石油が輸入できず原油価格が高騰した。
逆は下がることです。
自動車の需要をはじめ、
人や物の移動が制限されることで、
需要が激減して原油価格が一気に下落する。
要は、
石油価格が一気に下落し、
石油の関連会社が崩壊する。
ローカルの商売ができないという
短期的な危機を発端に、
数年単位で世界的な金融危機に
発展する可能性が高い(直面している)
ということを頭にいれて、
中小・大企業・国、そして個人が
そのリスクをヘッジできるように、
それぞれの動き、
マインドをしっかりと持つ必要がある。
僕たちが認識している以上に、
医学的危機の次に経済的危機が現実的である
ということがお判りいただけたと思います。
『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』
でもこれらは、コロナのせいだ!
これはイレギュラーな出来事だ!
と思うかもしれません。
しかし、
これは「歴史から学ぶ」べきです。
『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』
という言葉があります。
・自分の経験・体験からしか
アイデアが出せない、学べないのが、
言うなれば二流・三流。
・一流は、
このような危機は歴史にあったのかと
過去と比較して分析できるので、
未来に対応できる。
危機の襲来に対峙し、
これから起きることに対して
最善の準備と最良の決断をするには、
なんといっても想像力が重要であり、
歴史はまさに想像力の基盤となります。
『歴史から学ぶ』とは『歴史から想像する』
と言い換えてもよいのではないでしょうか。
したがって、
経済危機の歴史から紐解いてみましょう。
まずは、30年前に遡ります。
・バブル崩壊(1990年代前半)
・リーマンショック(2008年)
・東日本大震災(2011年)
・コロナショック(2020年)
まずは、バブル崩壊~リーマン・大震災、
で何が起きていたかを考慮に入れながら、
今回のコロナショックによる経済危機を
乗り越える必要があるのではないでしょうか。
じゃあ、どうするか?!
2.生き残るための心得
*まずは生き残ってください
具体的には、
現金とリーダーシップが最重要になります。
1) 現金をいかに手元に残しておけるかが重要
現金、まさに血液!
経済活動における血液、
これが循環していないといけません。
過去の経済危機の歴史において、
同じ業種でも企業の生死を分けたのは、
現金の潤沢さ、
金融機関との従来からの信頼関係、
そして平時における稼ぐ力と
自己資本の厚みですよね。
①残高把握
まずは、生き残る心得①
残高を把握することです。
中小・大企業、もちろん個人も
キャッシュはあるのか?
トップが情報を集めて把握する必要があります。
②優先順位経営
そのうえで止血をとめるために、
②優先順位経営をすることです。
以前と同じ状態には戻らないでしょう。
生き残りが最優先、
会社への愛着はなるべく捨てて、
トップは会社が生き残ることを
最優先に考える必要があります。
③固定費・人件費の改革
企業文化を残したい、社員も残したい、
危機の会社はみんな同じことを言うものです。
だけれども、生き残るために、
③固定費や人件費を
大幅カットしなければならない。
トップは勇気をもって断行しなければならない。
*現金と優先的な業務にフォーカスせよ。
個人も同じですよね。
現金を把握していますか?
月の出費は?入金はどれくらい?
現金の流れが止まったらどうなる?
2) リーダーシップ
まずは、問いかけてください。
あなた自身やあなたの会社のトップは
こんなリーダーですか?
①独断即決
この危機下は、独断即決が必要、
『独断即決・朝礼暮改』とにかく
スピードが重要になります。
調和・調整型のリーダーが一番血を流します。
なぜなら、
全員の意見を聞いてからでは遅いからです。
即断即決していかないと、
この危機は1,2,3波が来る、
独断即決で決めていかないと
この危機は乗り切れません。
そして状況は激変していくでしょう。
『俺がすぐ決める、
決めたことでやってだめなら、
次の手を打つ』
朝礼暮改でワントップのリーダー
じゃなければ乗り越えられません。
これまでの歴史でもそうでしたよね。
これ以外の会社は潰れていました。
②最悪想定
最悪を想定できるリーダーです。
楽観型と最悪想定型のリーダー、
「自粛を解放しれくれさえすれば問題ない」
という人と
「いやコロナの影響は4-5年は続くよ」
という人では、後者です。
最悪想定するリーダーが
強いのは間違いありません。
その上で最悪想定した策を
いくつも考えられること。
とは言え、
それはなかなか難しい、
皆ポジティブなことを考えたいものですよね。
でも、
いや待て、第2、3波を考える!
この業界・会社がそしてあなた自身が
ダメになったらと考えること。
これは、思考の訓練をするしかないようですね。
③反転攻勢
反転攻勢の意識があるか。
今、相当ピンチ、
でもこの状況下でやれることがあるのでは?
チャンスにするにはどうするか?
を今考えていることが重要。
コロナが落ち着いて、元の社会になるが、
その世界はコロナ前とはガラッと変わっている。
その中で生き残れるのは、
反転攻勢をコロナ中に考えていたリーダーだ。
コロナの後の世界を創造して
チャンスを伺っているリーダーだ。
3.働き方の改善
以上を踏まえて、
働き方を根本的に見直す必要があります。
1) 会社の「基礎疾患」
日本的経営からの脱却:
事業・組織・財務構造の改革です。
会社の基礎疾患とは、
医学的に基礎疾患持つ人は
コロナをはじめウイルスに弱いんです。
これはビジネスにおいても当てはまります。
それが会社の基礎疾患です。
例えば、
今の事業形態、組織形態、財務携帯は
コロナ後も機能すると思いますか?
今、ローカル企業は
かなり厳しい状況にありますが、
それは今の事業、組織、財務形態が
よくないからではないでしょうか。
基本的にビジネスの体力はありますか?
キャッシュがありますか?
デジタル化はできていますか?
これらが基礎疾患として浮き出ているんです。
別の例です。
コロナの影響によりお笑い芸人で、
劇場に出れないと食えないという人、
劇場とYouTubeという人では大きく異なります。
また店舗のみと、
店舗とウーバーイーツをしていた
飲食店も同様ですよね。
つまり、これらが基礎疾患なんです。
個人も、一つの会社だけ副業禁止、
一つの会社と副業でリスクヘッジでは
大きく異なります。
個人の働き方の基礎疾患になります。
日本的経営から脱却せよ!
日本的経営?年功序列、新卒一括採用、
みんなでオフィスで労働集約型、
これは高度経済成長まででした。
平成前の30年はこれでよかった。
なんと工場でも、
60年前と同じものの作り方をしているんです。
今後はこれらが通用しなくなります。
例えば、大企業で会社の中で出世する人は
会社の中で渡り歩くのが上手な人でした。
でも今は、
会社のビジネス自体が問われているんです。
1つの仕事しかしていない個人、
1つの事業しかしていない会社も
(同じような人を育てていた)
そんな状況が
一気に打撃を食らうことになります。
つまり、
多様な未来を想定していなかった、
日本の大企業はかなり危険な状態にあるんです!
一方、今、イノベーションをおこしているのは、
デジタルプラットフォームを
築いてきた海外ベンチャー企業です。
日本はそんなベンチャーすら生まれなかった、
ということも危惧されています。
日本の成功例といえばメルカリですが、
後はアメリカ、中国中心に
イノベーションが起きました。
つまり、ほとんどが大企業文化、
もちろん中小企業もですが、
日本的経営からの脱却が求められています。
そんな中、アフターコロナにおいて、
日本企業とそこで働く人は
生まれ変わらなければならない。
なぜなら、10年に1度、
同様な破壊的なショックはやってくるから。
歴史から学びましょう!
日本的経営から脱却するなら、
今しかありません。
2) 危機は10年毎に訪れる
復旧ではなく復興:
GAFA時代←ITバブル崩壊後に訪れた
理由は、歴史から学べば、
あらゆる危機は、
10年スパンでやってきているからです。
その想定で『復旧ではなく復興』なんです。
×復旧:元に戻すこと。
もとに戻ればいいと考えている
ローカルビジネス大ピンチ
〇復興:ピンチをチャンスととらえ、
ビジネスのやり方、会社の仕組みや
仕事のやり方を変えてしまうこと。
このマインドを持っていることが重要
(働き方の見直しができないと滅ぶ)
その証拠に、歴史を紐解くと、
大ショックの後に
全く新しい勝者が業界を牛耳ってきた。
例えば、ITバブルの崩壊(2000年代前半)
いわゆるホリエモンの時代がベンチャーバブル、
それが崩壊した後に、GAFAの時代になった。
ITバブル崩壊後にGAFA時代の到来したんです。
なので、歴史から学ぶと、
コロナショックの後にも、
全然違う企業が世界を牛耳る可能性が高い。
日本もそうだが、
コロナ前までは存在感のあった企業が
コロナ後には全く存在感を示せず、
全然違う企業が日本を牛耳る可能性が高い。
そしてそれらの企業は、
間違いなく日本的経営ではない!
それは、
独断即決、最悪想定、
反転攻勢ができるリーダーが
虎視眈々と狙っている新しいビジネスだ。
4.コロナ後に勝つためには
これまで、
マインドから働き方の見直しをしてきました。
ではどういうビジョンで戦うのか、
これが一番聞きたいですよね。
1) グローバル×デジタル
人移動→もの移動になり、
人の移動は制限されるが、
もの・サービスの移動は止まらない。
例えば、
Zoom、Ubereats、NETFLIX、
amazonPrime、YouTube…
*グローバル×デジタル
この流れは絶対に止まらない!
はて?
コロナでグローバルは止まるのでは?
ローカルに戻るのでは?
という意見もありますが、
しかし、考え方は以下です。
「人の移動」は制限される世界ではあるが、
「モノ移動」は「モノやサービスの移動」
はグローバルに続いていきます。
例えば、
eコマースやオンラインサービス等、
グローバルに続いていくものですね。
だから、
グローバルの視野は必要、
そしてプラス、デジタルです。
いやいや、
これまでさんざんデジタル化は
言われてきましたが、
実は日本のデジタル化は
「デジタル化ごっこ」に過ぎないんです。
具体的には、
「アナログのサービスが
デジタルでもできたらいいな」
的な考え方だった。
コンサル会社が大企業にサービスを
売るための戦略だったんです。
そのため、
デジタルトランスフォーメーション等の
難しい言葉を並べる必要があったんですね。
でもコロナ後は、デジタルじゃないとだめです。
Zoomが代表例です。
打合せから飲み会までZoomは浸透しました。
コロナ前は、
オンライン会議出来たらいいよね、
という考えでした。
今は、マストです。
またコロナ期間に、
多くはテレビを見ませんでした。
そしてNETFLIXの加入者が爆増した、
アマゾンプライム、
そしてユーチューブ登録者も爆増、
この事実から目をそらしてはいけません。
グローバル×デジタル
の流れはもう止まらない、止められません。
そんなビジネスをしていますか?
あなたのビジネスは、
グローバル×デジタルの元に成り立っていますか?
これが問われます。
グローバル×デジタルでもない、
ローカルビジネスの企業は、
グローバル×デジタルにフィットする
マインドがないと
間違いなく淘汰されるでしょう。
恐ろしい世界です…でも現実です。
2) リモート×リカーリング
サービス・こと消費、サブスクリプション:
ゲーム、動画・音楽・書籍、金融等。
リモートでサービスが
提供できることは大切です。
さらに、コト消費=体験、
これをいかに売れるかです。
例えば、ゲーム、音楽、動画、書籍、
などの体験をリモートで届けられるか?
リカリングとは、
繰り返し循環という意味、
いわゆるサブスクリプションです。
一昔前は、
マイクロソフトがソフトを箱売りしていました。
今では月額制でアップデートができます。
ちなみに、
サブスクにしてから売上増、
ソフトをソフトとして売らず
サービスとして提供したんです。
モノを売り切るのではなく、
月額等、お金を定額で頂くとうサービスですね。
3) TAからCXへ
Tune Aroundから
コーポレート・トランスフォーメーションへ
元に戻れというマインドは捨てましょう。
会社ごと変えよ、生まれ変われ、
自動車と電機が危機に瀕している!
逆オイルショック待ったなしです。
電機はまだ液晶パネルを作り続けるのか?
危機は銀行とメディアにもやってきます。
キャシュレスや仮想通貨の波にのまれ、
支払いや預金の仕方が変わります。
メディアも変わる?
全く違う人たちが
メディアの主役になりそうですね。
経済は戻るのか?
愚問だ、ガラッと変わるでしょう。
その経済で生き残り、勝ち残るのは、私だ!
というリーダーだけが今求められているんです。
供にがんばりましょう。
まとめ
以下、まとめます。
*危機は3段階:
①ローカル ②グローバル ③ファイナンス
*生き残ることが最優先:
現金とリーダーシップ
*日本的経営からの脱却:
今までのやり方は通用しない
*グローバル×デジタル:
この流れは絶対に止められない
ピンチをチャンスに変える。
これは本当に痛みを伴います。
そして、ほとんどの人は
辛い状況を避けたいと思うものです。
楽しく生きたいと思うものです。
それが人間の本質だからです。
でも、トップの決断のもとに、
会社・従業員が一致団結すれば
ピンチをチャンスに変えることができる。
生まれ変わる新しいビジネスや
やり方に挑戦することができる。
このピンチをチャンスに変えた会社は
一気に業績が上がっています。
そんな中小製造業が頑張ることで、
売上そして雇用を増やしてほしい。
そんな中小製造業が
withコロナ時代でも勝ち残れる。
以上です。
参照1:「モノの流れと位置の徹底管理法」近江堅一・近江良和(日刊工業新聞社)
参照2:「新型コロナウイルスの影響を踏まえた経済産業政策の在り方について」経済産業省 令和2年6月17日(水)
参照3:「コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画」冨山和彦(文藝春秋)
コメント