【品質管理】不良を減らすには?良品をつくる3つの見直し

工場の不良を減らすには?良品を安定してつくる3つの見直し
設備が動いていても、良品をつくれるとは限りません。
工場では、設備の設定を変えていないのに、
不良が発生することがあります。
その原因は、金型や工具の摩耗、設備の汚れ、部品の緩みなど、
時間とともに変化する生産条件にあるかもしれません。
製造業の品質管理で重要なのは、
不良を検査で見つけるだけでなく、
良品を安定してつくれる状態を維持することです。
今回は、中小製造業が不良削減と生産性向上を
実現するために見直したい
「条件を決める・条件を保つ・異常後に戻す」
という3つのポイントを解説します。
⚠️ 設備が動いていても良品をつくれるとは限らない
工場では、設備が止まらず動いていることを重視しがちです。
しかし、設備が動いていることと、
良品を安定して生産できることは同じではありません。
例えば、
金型が摩耗している
工具の切れ味が落ちている
設備に汚れが付着している
部品が緩んでいる
加工位置が少しずれている
といった状態でも、設備自体は動き続けることがあります。
その結果、気づかないうちに品質が変化し、
不良が発生する可能性があります。
設備の稼働状態だけでなく、
良品をつくるための条件が保たれているかを確認することが重要です。
🏭 不良削減の基本は「良品をつくれる状態」を管理すること
品質管理というと、
完成した製品を検査することに意識が向きがちです。
しかし、検査は不良を発見するための活動です。
不良そのものを減らすには、
製造工程で良品をつくれる状態を維持しなければなりません。
そのために必要なのが、次の3つです。
① 良品をつくる条件を明確にする
② 良品をつくる条件を保つ
③ 異常後は良品をつくれる状態まで戻す
この3つを仕組みにすることが、安定した品質づくりの出発点です。
📋 対策① 良品をつくる条件を明確にする
最初に必要なのは、
良品をつくるための条件を明確にすることです。
例えば、
温度
圧力
加工位置
加工速度
工具の状態
金型の状態
など、製品の品質に関係する条件を確認します。
そのうえで、
どの条件を管理するのか
許容範囲はどこまでか
どの方法で確認するのか
いつ確認するのか
誰が確認するのか
を決めます。
重要なのは、単に数値を決めることではありません。
その条件が守られているか、現場で確認できる状態にすることです。
👨🏫 「教えた」と「できる」は違う
良品をつくる条件を作業標準にまとめても、それだけでは品質は安定しません。
作業者が実際に条件を合わせ、正しく確認できる必要があります。
例えば、
設定値を正しく入力できるか
測定器を正しく使えるか
許容範囲を判断できるか
異常値に気づけるか
異常があったときに適切に対応できるか
を確認します。
「説明したから大丈夫」
「作業標準を渡したから分かっているはず」
では不十分です。
実際にやってもらい、
正しくできることを確認する必要があります。
教育の目的は、教えることではなく、
良品を安定してつくれるようになることです。
🔧 対策② 良品をつくる条件を保つ
二つ目は、良品をつくる条件を維持することです。
最初に正しい条件を設定しても、その状態がずっと続くとは限りません。
例えば、
金型が摩耗する
工具が摩耗する
設備に汚れがたまる
部品が緩む
センサーの位置がずれる
といった変化が発生します。
そのため、設備や工具の状態を定期的に確認する必要があります。
重要なのは、
不良が発生してから対応するのではなく、
不良が発生する前に手を打つことです。
🛠️ 予防保全で不良が出る前に対策する
不良が出てから設備を修理するだけでは、
生産計画への影響を避けられません。
そこで必要になるのが予防保全です。
例えば、
金型の点検基準を決める
工具の交換基準を決める
設備の清掃時期を決める
緩みや摩耗の確認方法を決める
異常の兆候を記録する
といった活動です。
点検や交換の基準は、
使用回数や稼働時間、測定結果、
過去の不良履歴などを参考に決めます。
そして、実績を確認しながら基準を見直していきます。
設備が壊れないことだけでなく、
良品をつくれる状態を保つことが予防保全の重要な目的です。
🗓️ 点検・修理・交換を生産計画に組み込む
予防保全を実施するには、
点検表をつくるだけでは不十分です。
誰が行うのか。
いつ行うのか。
どれくらいの時間が必要なのか。
どのタイミングで設備を止めるのか。
これらを明確にする必要があります。
例えば、工具交換に20分必要であれば、
その時間を生産計画へ組み込みます。
計画にないまま、
「時間が空いたら点検する」
という運用では、忙しいときに後回しになりがちです。
保全作業も工場に必要な仕事として、
工程設計や日産計画に反映することが重要です。
🔄 対策③ 異常後は良品をつくれる状態まで戻す
三つ目は、異常発生後の復旧方法です。
設備が故障した場合、
「修理が終わった」
「設備が動くようになった」
という段階で、生産を再開してしまうことがあります。
しかし、設備が動くだけでは、復旧が完了したとは言えません。
本当に確認すべきなのは、良品をつくれる状態に戻っているかです。
例えば、
設定条件は正しいか
加工位置はずれていないか
工具や金型の状態は正常か
試作品や初品の品質は問題ないか
を確認します。
必要な確認が完了し、
責任者が生産再開を判断する仕組みが重要です。
🔍 異常発生前後の製品も確認する
設備異常が発生した場合、
修理後の製品だけを確認すればよいとは限りません。
異常がいつから発生していたのか分からない場合、
それ以前に生産した製品にも影響している可能性があります。
そのため、
最後に良品を確認したのはいつか
異常の兆候はいつからあったか
どの製品に影響する可能性があるか
仕掛品や完成品の確認が必要か
を調べます。
必要に応じて、対象製品の識別や隔離、再検査などを行います。
設備を直すことだけでなく、
不良品を後工程やお客様へ流さないことまで考える必要があります。
⏱️ 修理時間と生産再開までの時間を分けて管理する
設備異常への対応では、
修理にかかった時間だけを記録していないでしょうか。
例えば、
修理完了まで20分
生産再開まで35分
だったとします。
この場合、修理完了から生産再開までに15分かかっています。
この15分には、
品質確認に必要な時間
試運転に必要な時間
材料や工具の準備時間
責任者の判断待ち
といった時間が含まれているかもしれません。
重要なのは、15分すべてをムダと判断しないことです。
必要な品質確認時間と、準備不足や判断待ちによるロスを分けて考えます。
📊 MTBF・MTTRを活用して設備保全を改善する
設備保全では、MTBFやMTTRといった指標も役立ちます。
MTBFは平均故障間隔を表し、
設備が故障するまでの平均的な稼働時間を把握するための指標です。
MTTRは平均修復時間を表し、
故障した設備の修復にどれくらい時間がかかっているかを見る指標です。
これらを確認することで、
故障が頻繁に起きていないか
修理に時間がかかっていないか
点検や交換のタイミングは適切か
復旧手順に改善の余地がないか
を考えることができます。
ただし、設備の修理時間だけでは、
品質確認を含む生産再開までの時間を十分に把握できない場合があります。
そのため、設備保全の指標と合わせて、
生産再開までの時間も管理することが重要です。
🤝 製造・品質・保全の連携が良品づくりを支える
良品を安定してつくるためには、
製造部門だけでなく、品質部門や保全部門との連携が必要です。
製造部門は、日々の作業条件や設備の変化に気づく役割を担います。
品質部門は、製品の品質状態や判定基準を確認します。
保全部門は、設備や工具の状態を維持し、異常の原因を調べます。
それぞれが別々に活動していては、問題の解決が遅れることがあります。
重要なのは、
何が起きたのか
品質にどのような影響があるのか
どの条件を戻す必要があるのか
いつ生産を再開できるのか
を関係者で共有することです。
👷 管理者の仕事は「実行できる仕組み」をつくること
作業標準や点検表をつくることは重要です。
しかし、書類をつくっただけで仕事が変わるわけではありません。
管理者や現場リーダーは、
決めた条件で作業できているか
点検が計画どおり行われているか
必要な交換時間が確保されているか
異常後の品質確認が実施されているか
を確認する必要があります。
もし決めたことが実施できていなければ、
「なぜ守らないのか」
と注意するだけでは不十分です。
時間が足りないのか。
必要な道具がないのか。
基準が分かりにくいのか。
担当者が決まっていないのか。
実行できない原因を確認し、
仕事のやり方を見直すことが管理者の役割です。
💰 品質管理は不良削減だけでなく利益を守る活動
品質不良が発生すると、
製品を作り直すだけでなく、多くの余分な仕事が発生します。
手直し
選別
再検査
設備停止
計画変更
材料の追加使用
納期調整
これらは、工場の生産性や利益に影響します。
例えば、不良が発生するたびに
30分の手直しが必要であれば、その時間は本来の生産に使えません。
良品を安定してつくれる状態を維持できれば、
手直しや選別に使っていた時間を減らせます。
その時間を追加生産や残業削減などにつなげることで、
利益改善にも貢献できます。
品質管理は、
製品の品質を守るだけでなく、工場の利益を守るための活動です。
🎯 今日からできること|不良が出た設備を1台選ぶ
最初から工場全体の設備を見直す必要はありません。
まずは、最近不良が発生した設備を1台選んでみましょう。
そして、製造・品質・保全の関係者で、次の3つを確認します。
① 良品をつくる条件は明確になっているか?
② その条件を維持する点検・交換の仕組みはあるか?
③ 異常後、良品をつくれる状態まで戻してから生産を再開しているか?
この3つを確認したうえで、見つかった問題を一つ選びます。
そして、
何を改善するのか
誰が担当するのか
いつまでに実施するのか
どの数字で効果を確認するのか
を決めます。
対策を実施した後は、同じ不良が減ったか、
設備停止や手直し時間が減ったかを確認します。
小さな改善でも、結果まで確認することが重要です。
🚀 改革でつくる・改善で磨く・定着で自走させる
工場学では、工場改革を次の3段階で考えます。
改革でつくる。
改善で磨く。
定着で自走させる。
品質管理も同じです。
まず、良品をつくる条件を明確にし、
その条件を維持する仕組みをつくります。
次に、不良や設備異常の原因を確認し、
点検方法や作業条件、復旧手順を改善します。
そして、現場自身が条件の変化に気づき、
必要な確認や対策を継続できる状態へ定着させます。
設備が止まってから対応する工場ではなく、
不良が出る前に変化へ気づける工場を目指します。
📺 次回予告|良品になったのに利益が残らない?
不良が発生しても、手直しによって最終的に良品として出荷できることがあります。
しかし、その製品には本来必要のなかった時間や費用がかかっています。
最終検査の合格率だけを見ていると、こうしたムダが見えにくくなることがあります。
次回は、「良品になったのに利益が残らない?」をテーマに、
手直しによって見えにくくなるコストと、直行率の重要性について解説します。
🏁 まとめ|良品をつくる条件を決め、保ち、異常後に戻す
工場の不良を減らすためには、
設備が動いているかどうかだけではなく、
良品をつくれる条件が保たれているかを確認する必要があります。
重要なポイントは3つです。
① 良品をつくる条件を明確にする
② 良品をつくる条件を保つ
③ 異常後は良品をつくれる状態まで戻す
そして、この3つを実行するためには、製造・品質・保全の連携が欠かせません。
作業標準や点検表をつくるだけで終わらせず、実際に使われているかを確認する。
計画どおり実施できなければ、原因を調べて仕事のやり方を改善する。
こうした活動を積み重ねることで、
不良や手直しを減らし、生産性向上と利益改善につなげることができます。
改革でつくる。
改善で磨く。
定着で自走させる。
「設備を動かすこと」ではなく、「良品を安定してつくり続けること」。
この考え方が、品質管理を工場改革と利益改善につなげるための重要な出発点です。