常識を打破する力を引き出そう
こんにちは、技術士(経営工学)のカスヤです。
突然ですが、あなたの業界、あなたの工場での『常識』は何ですか?
私たちは、この常識という枠の中で、様々なことを考え、実行しています。
しかし、その常識という枠にいることを気づくことはほとんどありません。
昨日までやってきたことを、明日からも続ける日々の繰り返しです。
実は、この常識が厄介ものなのです・・・なぜか?その理由は・・・?
詳しく解説します!
常識を打破する力を引き出そう
そうです!常識が工場改善を難しくするのです。
逆に言うと、この常識の枠を超えることで、今まで気づかなかった改善のヒントが得られ、工場改善がびっくりするほど進んできます。
当然ながら、改善成果も出ます。
今、工場に必要なのは、工場改善する手法や方法を学ぶことではなく、 本当に改善すべきテーマを見つけることなのです。
本当に改善すべきテーマを見つけること
ちょっと余談ですが、
サーカスの象は、子供のころ鎖に繋がれます。最初は、その鎖を外そうと抵抗し、暴れまわるそうです。
でも、まだ力が弱いので、鎖を切ることができません。何度も何度も試みて、鎖が切れないと諦めるそうです。
サーカスの象は、だんだん成長し、大人になっていきます。相変わらず鎖に繋がれていますが、大人の象であれば鎖を切ることは簡単にできます。
しかし、子供のころ鎖を切れなかった経験があるので、鎖を切ろうと思わないのです。
やがて、鎖を外し、自由に動けるようになっても、象は鎖の繋がれていた範囲内でしか行動しないそうです。
そう、物理的な鎖が外れても、「心の鎖」がかかったままなのです。心理的な思い込みが、行動を制限してしまうのです。
この視点においては、基本的に象も人間も同じです。 今までの経験が、未来を制限してしまうことがあるのです。
具体的な事例を紹介しましょう。
具体的な改善事例
私が生産性向上を支援しているいくつかの工場では、改善発表会を開催し、社長をはじめ全社員に改善内容を報告しています。
先日、ある工場で発表会を行ったのですが、素晴らしい発表会でしたので、少し紹介します。
この工場は、従業員50人ほどの機械加工の工場です。機械加工を行う比較的若い(20~30代)従業員を対象として改善活動を進めてきました。
色々と改善したのですが、以下の2点を中心に改善活動成果を発表することになりました。
(1)バリとり時間の短縮
(2)機械加工時間の短縮
バリとりとは、金属を機械で加工した(穴をあける、削る)際に出るバリ(でっぱり、削りカス)を取り除く仕上げ作業です。
今までは、バリとりを1つの「仕事」と考え、長いときには半日まるまる使って(機械を止めて)バリとり作業をしていました。
バリとりの時間を短縮しようという発想はありませんでした。
しかし、このバリとり作業がムダ(利益を生み出さない)と学び、初めてバリとりの時間を短縮する(その分機械を回す)という発想を持ちました。
そして、バリとりする手順、使う道具、やり方を分析し、バリとり時間を短縮することができました。
もう1つは、機械加工の見直しです。機械加工の速度を速くすると、加工時間が短縮するので、生産効率が上がる。これが今までの「常識」でした。
しかし、結果としてバリがたくさん発生し、その後のバリとり作業に多大な時間がかかっていました。
そこで、逆に、機械加工速度を落としてみたらどうか?と考え、実験を繰り返すと、ある条件では速度を落とした方がよいという結論になりました。
つまり、機械加工速度を落とすと、加工時間は長くなるが、その後のバリとりが簡単にできるということです。
この改善活動を通して、2つの常識を打破できたのです。
「バリとりは仕事、時間がかかってもやらなければならない」
「機械加工速度は、できるだけ速い方がよい」
ちなみに、発表会終了後、発表者に感想を聞くと、こんな声が返ってきました。
今まで改善しようと思っても、実際に行動に移せていなかったが、今回の活動で行動に移し、成果を実感できたことがよかった
当たり前にやっていたことの中にムダがあることを発見できてよかった。
改善をやってみると本当に良くなったので自信がついてきた
社員が自主的に改善をして、成果を出し、前向きに仕事に向かうようになった。
これを喜ばない経営者はいませんよね!
キーワードは「常識を打破する力」です。
自らが常識を打破する改善を行うことで、自信とやる気がついてくるのです。
これこそ、全ての工場で実施すべき最重要テーマではないでしょうか。
改善すべきことは山のようにあります。
でも、常識という名の煙にさえぎられて見えていないだけです。 この機会に、現場をじっくり観察して、常識を打破していきましょう。
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