リードタイム短縮の効果
こんにちは、技術士(経営工学)のカスヤです。
最近の中小メーカーを取り巻く環境は非常に厳しいです。
現在、顧客は値引き要望と短納期要望が強く、値引きは3~8%、
2週間の納期を1週間に(納期半減)することを要求しています。
場合によっては、翌日出荷という要求もあります。
中小メーカーは、このような状況にあっても何もしないでは生き残れません。
今やっているものづくりを根本的に変えなければなりません。
どうしたらよいでしょうか?中小メーカーの経営者の方からよく聞かれます。
でも大丈夫です。
このブログを読めば、ものづくりの盲点に気付くことができます。
というわけで、今回は総合リードタイムの短縮について考えてみましょう。
私達がこれまで300社以上に適用してきた結果ですので、信頼性は十分あると思います。
前回は、リードタイム短縮は顧客に感動を与え、コストダウンの武器になる。
顧客は、どこよりも早く届く商品なら間違いなく選ぶ。
という話をしました。
実は多くの工場では、品質向上やコスト削減に躍起になりますが、
リードタイムの短縮を本格的に実施している所は非常に少ないです。
リードタイム短縮の本質
品質向上やコスト削減には限界があるので、
リードタイム短縮を進めた方が、断然良いのに、皆さん気付きません。
そこで身近な例で考えてみましょう。
「仕事ができる・できない」の尺度で真っ先にあがるのは「スピード」ですよね。
よくあいつは「仕事が速い」って言いますよね。
いくら高い質の仕事をしても、普通の人が5分で終わるものに、
1時間以上かけていたら、その人は「仕事ができる」とはみなされません。
逆に、仕事の質は普通でも、スピードが周りの10倍早ければ、
間違いなくその人は引っ張りだこです。
それに仕事が速い人は往々にして仕事の質も高いですよね。
工場の仕事もこれと全く同じです。
リードタイム短縮は、ものをつくる速度が速くなることであり、
速度が速くなれば、生産性も向上します。
ちょうど、高速道路を渋滞なしで走るように、車の輸送量は増えます。
これと同じで、ものの流れの速度が増せば、生産高が増え生産性が向上します。
余談ですが、私の昔の上司はめちゃめちゃ仕事が速かったです。
なぜかというと「常に未来から逆算する」ということを徹底していました。
仕事のプロセスを細分化し、アクションプランに徹底的に落とし込み、
「できない」ではなく「できるにはどうすれがいいのか」と突き詰めるそうです。
分かっているけど、なかなかできませんよね。
製造条件をリードタイムの面から見直せ
現在の製造条件はリードタイム短縮面から決められていません。
ほとんどの工場では製造条件を決めた根拠があいまいなケースが多いです。
私も過去に設計開発時に製造条件を決めていました。
何度も試作し、統計的なばらつきを考慮して、決定していました。
この初期の検討では、品質特性を満たす観点からのみで決めていました。
例えば、当時は量産後になぜ、
材料の歪みを取るのに、90度の恒温槽に8時間も入れているのか?
熱処理の処理速度を4m/分にしているのか?
を深く考えませんでした。
結局、品質特性を満たしているからこれでよいって考えてしまうんですよね。
ここで、品質特性面からのみ決められていた製造条件を、
リードタイム短縮面から抜本的な見直しをしてみて下さい。
リードタイム短縮は、生産性向上に貢献する。一石二鳥です。
実際、先ほどの2例では、8時間を4時間に、4m/分を5m/分にしても、
品質上の問題はありませんでした。
製造条件をリードタイム短縮面から検討すると
品質が落ちると考えている管理者は多いです。これは間違いです。
製造条件をリードタイム短縮面から見直しする価値に気付いて下さい。
旧ブログはこちらからどうぞ。
http://pe-michanpapa.hatenablog.com/
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